教員対談 TALK SESSION
2024年7月30日 教員対談【3】石田敏郎×加藤麻樹
「eスクール」をめぐって石田先生と加藤先生に対談していただきました。
加藤 麻樹
専門は安全人間工学。博士(人間科学)。九州看護福祉大学助手、長野県短期大学准教授、早稲田大学人間科学学術院准教授を経て、2019年から人間科学学術院教授。
石田 敏郎
専門は交通心理学、安全人間工学。博士(人間科学)。1994年より早稲田大学人間科学学術院教授。日本交通心理学会会長、日本交通科学学会常任理事などを務める。早稲田大学名誉教授。
【eスクールのたちあげ】
eスクールは驚くほどのスピードで立ち上がり、あっという間に軌道に乗りました。大学院生にも手伝ってもらって授業を進めていきました。
【eスクールの学生たち】
ゼミには社会人の学生が多く所属していて、学んだことを仕事に生かすため熱心に授業を受けていました。ヒューマンエラーを防止するための研究をしていたので、1回のエラーが重大な損失につながる職業の方、大学病院の看護師長や看護師、歯科衛生士の方などが在籍していました。非常に熱心な方々で通学制や大学院のゼミにも出席していました。
僕も石田先生の研究内容を継承している関係から、交通関係などで働く、安全に係る関心の高い学生が集まってきます。目的意識が明確なので、入学する前から卒業研究のテーマが決まっている。それに対してこれから何を研究しようか考え始める若い学生は、テーマ確定までに時間がかかりもったいないなと思います。
【eスクールで学ぶ目的】
日本の高校を卒業してイギリスに行き、専門学校で技術を身に着けて帰国し会社を立ち上げたという学生がいました。その学生は、社会に出てみて大学で勉強することの必要性を理解し、eスクールに入学したと言っていました。そういう学生にはeスクールは合っているといえます。
eスクールの社会人学生は、仕事のうえですでに獲得しているものを伸ばしたい、高めたいという人が多いと思います。これまでの観点に新しくなにかを付け加えて広げるという意味ではeスクールの学びは有効だと思います。 ただ、無理をして学修を続けられなくなることがないようにしてほしいです。生活が落ち着いているところに勉強を加えるスタイルがいいと思います。
【eスクールの学び】
eスクールでは学生自身の具体的な生活と学問という抽象的なものとを結びつけることができます。また、多岐にわたる科目から自分の研究に必要な知識をピックアップして修得することができるのはメリットだと思います。
eスクール生は学ぶことを楽しんでいる印象がありました。仕事や家庭を維持しながら学修するのは大変だと言いながら、それでも卒業していきますね。
忙しさをどのようにマネジメントできるか見極められると、大変でも卒業できてしまうんですよね。
【学びは役立たせるもの】
最近よく若い学生から「これは役に立つのか」と聞かれます。役に立たないことはコスパが悪いと思ってしまうようです。役に立たせる方法を勉強してきてほしいです。eスクールの社会人の学生は、学んだことを絶対に役に立てるという気概に溢れているので、若い学生を啓発してもらいたいなと思っています。
私の研究室はゼミでもなんでもeスクールの学生も全部出てくるので、まだ仕事をしていない学生たちにそういうことを教えてくれて有難かったです。eスクールの学生もまた通学制の学生から学ぶことがあり、とてもよかったと思います。